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被合併法人等から引き継ぎを受ける未処理欠損金額等の制限の対象となる金額について、その計算の特例を教えてください。

 

未処理欠損金額等の制限対象金額がある法人について、支配関係事業年度の前事業年度終了時における時価純資産価額が簿価純資産価額以上であるときは、引き継ぎ制限対象の支配関係事業年度前の未処理欠損金額等について、含み益に達するまでの欠損金額の引き継ぎが認められます。

1.被合併法人等から引き継ぎを受ける未処理欠損金額に係る制限
適格合併に係る被合併法人と合併法人の間に支配関係があり、かつ、その支配関係が合併法人の合併等事業年度開始日からさかのぼって5年前の日以後に生じている場合において、当該適格合併が共同で事業を営むための合併に該当せず、いずれかの法人の設立の日から継続して支配関係がないときには、次の欠損金額は、被合併法人の未処理欠損金額に含まないことになっています(法人税法第57条第3項)。
・当該被合併法人等の支配関係事業年度前の各事業年度で前7年内事業年度に該当する事業年度において生じた欠損金額
・当該被合併法人等の支配関係事業年度以後の各事業年度で前7年内事業年度に該当する事業年度において生じた欠損金額のうち特定資産譲渡等損失額に相当する金額から成る部分の金額

2.未処理欠損金額等の制限対象金額の特例
上記1の制限対象となる欠損金額がある法人の支配関係事業年度の前事業年度終了時に有する資産及び負債について時価評価をする場合は、その時価評価の状況及び未処理欠損金額等の状況によって、制限される金額が異なります。
時価純資産価額が簿価純資産価額以上である、すなわち含み益があるときは、引き継ぎ制限対象の支配関係事業年度前の未処理欠損金額等について、含み益に達するまでの欠損金額の引き継ぎが可能です(法人税法施行令第113条第1項第1号・同条同項第2号・同条第4項)。
一方、時価純資産価額が簿価純資産価額に満たない、すなわち含み損があるときは、支配関係事業年度以後の欠損金額のうち、引き継ぎ制限対象となる特定資産譲渡等損失額に相当する金額から成る部分について、含み損の額を超える金額については欠損金の引き継ぎが可能です(法人税法施行令第113条第1項第3号・同条第4項)。

被合併法人等から引き継ぎを受ける未処理欠損金に係る制限等の適用の有無について、支配関係が複数ある場合における支配関係の継続要件を教えてください。

 

被合併法人等から引き継ぎを受ける未処理欠損金に係る制限等について、支配関係が複数ある場合、適格組織再編成等の日の属する事業年度開始日からさかのぼって5年前の日から継続して支配関係があるときには適用されません。

平成22年度税制改正により支配関係の継続要件が整備され、被合併法人等から引き継ぎを受ける未処理欠損金に係る制限や合併法人等の繰越青色欠損金額に係る制限及び特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入について、支配関係が複数ある場合、適格組織再編成等の日の属する事業年度開始日からさかのぼって5年前の日から継続して支配関係があるときには適用されないこととなりました(法人税法第57条第3項・同条第4項・第62条の7第1項・同条第3項)。
例えば、A社(不動産管理業)が、X社(卸売業)とY社(小売業)を子会社に持つB社を2年前に吸収合併し、このたび、X社とY社を合併することにしたというケースについて考えてみます。X社とY社は、10年前からB社の子会社でした。
平成22年度税制改正前は、特定資本関係に異動のあった、A社がB社を吸収合併した時点が、もし当該事業年度開始日の5年前の日以後であるなら、繰越欠損金の引き継ぎの制限等が適用されていました。
しかし、このケースにおけるX社とY社のように、適格組織再編成等の日の属する事業年度開始日の5年前の日から継続して支配関係があるときには、制限措置が適用されないこととなったといえます。

平成22年度税制改正で、被合併法人等から引き継ぎを受ける未処理欠損金に係る制限等について、支配関係の継続期間が見直されましたが、この見直しから除外される場合はあるのでしょうか?

 

欠損金の受け皿法人や特定資産の受け皿法人を介することによって、支配関係前の欠損金や適用期間において生じる特定資産譲渡等損失額の制限措置を回避することを防止する目的で、一定の場合をこの見直しから除外することとされています。

平成22年度税制改正により支配関係の継続期間が見直されたことから、被合併法人等から引き継ぎを受ける未処理欠損金に係る制限・合併法人等の繰越青色欠損金額に係る制限・特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入を、適格組織再編成等の日の属する事業年度開始日からさかのぼって5年前の日から継続して支配関係がある場合は適用しないことになりました。さらに、5年前の日以降に支配関係が生じた場合でも、その当事者であるいずれかの法人の設立日から継続して支配関係があるときにも、これらの制限措置を適用しないこととされました(法人税法第57条第3項・同条第4項・第62条の7第1項、同法施行令第112条第4項・同条第6項・第123条の8第1項)。
ただし、欠損金の受け皿法人や特定資産の受け皿法人を介することによって、支配関係前の欠損金や適用期間において生じる特定資産譲渡等損失額の制限措置を回避することを防止する目的で、一定の場合をこの見直しから除外することとされています。

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