非適格合併によって移転する資産の処理について教えてください。
非適格合併によって被合併法人から合併法人に移転する資産及び負債は、その移転時の時価で譲渡したものとして処理します。ただし、譲渡損益調整資産に該当する資産については、被合併法人においてはその移転による譲渡利益額の計上は行わず、合併法人においては簿価で受入れ処理を行います。
1.被合併法人における処理
非適格合併によって移転した資産が譲渡損益調整資産に該当するときには、その譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額は、被合併法人の最後事業年度(被合併法人の合併日の前日が属する事業年度)において、損金の額又は益金の額に算入されることとなりますので、被合併法人の所得の金額に影響を及ぼすことはなく、簿価による資産の引き継ぎが行われている場合、被合併法人がその最後事業年度において行うべき当該資産に係る申告調整はありません。
一方、譲渡損益調整資産に該当しない資産を移転し、簿価によって引き継ぎが行われているときには、時価と簿価との差額について移転資産に係る譲渡損益として申告調整を行う必要があります。
2.合併法人における処理
非適格合併によって、被合併法人において譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額を計上しないこととなったとき、その譲渡利益額に相当する金額についてはその非適格合併に係る合併法人のその譲渡損益調整資産の取得価額に算入せず、その譲渡損失額に相当する金額についてはその合併法人のその譲渡損益調整資産の取得価額に算入することとされています。
このとき、合併法人の譲渡損益調整資産の取得価額に算入しない譲渡利益額に相当する金額から、譲渡損益調整資産の取得価額に算入する譲渡損失額に相当する金額を差し引いた金額は、合併法人において利益積立金額の期末の減算項目とされます。
また、譲渡損益調整資産に該当しない資産の移転のときには、時価で受入れ処理を行います。