子会社親会社~グループ法人税制の基本

これだけは知ってもらいたいグループ法人税制のポイント

適格分社型分割における貸倒引当金の引き継ぎについて教えてください。

 

平成22年度税制改正により、適格分社型分割でも適格分割型分割と同じように、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金についても分割承継法人に引き継ぐことができることとされました。

平成22年度税制改正前には、適格分社型分割では、個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の分割承継法人への引き継ぎは認められていましたが、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の引き継ぎは認められていませんでした。なぜなら、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金は、過去の貸倒実績率等により算定される一般的な将来の損失の見込額であり、個別評価金銭債権に係る貸倒引当金と違って個々の債権と一体不可分の関係はないからです。
しかし、平成22年度税制改正により、分割型分割におけるみなし事業年度の規定の廃止に伴って、適格分社型分割と適格分割型分割のルールが統一され、適格分社型分割でも適格分割型分割と同じように、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金についても分割承継法人に引き継ぐことができることとされました(法人税法第52条第6項)。
限度額の範囲ならば貸倒引当金の計上は任意ですので、一括評価金銭債権について会社分割に当たって戻し入れたままにすることもできます。しかし、貨倒引当金の洗替による戻入益が計上されることにより、多くの税負担が発生することになってしまいます。すなわち、分割法人は分割の際に一括評価金銭債権に係る貸倒引当金を計上する(分割承継法人に貸倒引当金を引き継ぐ)ことで税負担を軽くするチャンスを逃すということになります。
一方、貸倒引当金を引き継げば、分割承継法人は、会社分割の日の属する事業年度において益金に算入する(洗替処理をする)ことが必要です。
したがって、グループ内分割についてはグループ全体で見た税負担への影響は、原則としてありません。ただし、分割承継法人が赤字会社であるようなときには、分割法人において一括評価金銭債権に係る貸倒引当金を計上しておくことのメリットは大きいといえます。

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