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非適格合併によって移転する資産の処理について教えてください。
非適格合併によって被合併法人から合併法人に移転する資産及び負債は、その移転時の時価で譲渡したものとして処理します。ただし、譲渡損益調整資産に該当する資産については、被合併法人においてはその移転による譲渡利益額の計上は行わず、合併法人においては簿価で受入れ処理を行います。
1.被合併法人における処理
非適格合併によって移転した資産が譲渡損益調整資産に該当するときには、その譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額は、被合併法人の最後事業年度(被合併法人の合併日の前日が属する事業年度)において、損金の額又は益金の額に算入されることとなりますので、被合併法人の所得の金額に影響を及ぼすことはなく、簿価による資産の引き継ぎが行われている場合、被合併法人がその最後事業年度において行うべき当該資産に係る申告調整はありません。
一方、譲渡損益調整資産に該当しない資産を移転し、簿価によって引き継ぎが行われているときには、時価と簿価との差額について移転資産に係る譲渡損益として申告調整を行う必要があります。
2.合併法人における処理
非適格合併によって、被合併法人において譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額を計上しないこととなったとき、その譲渡利益額に相当する金額についてはその非適格合併に係る合併法人のその譲渡損益調整資産の取得価額に算入せず、その譲渡損失額に相当する金額についてはその合併法人のその譲渡損益調整資産の取得価額に算入することとされています。
このとき、合併法人の譲渡損益調整資産の取得価額に算入しない譲渡利益額に相当する金額から、譲渡損益調整資産の取得価額に算入する譲渡損失額に相当する金額を差し引いた金額は、合併法人において利益積立金額の期末の減算項目とされます。
また、譲渡損益調整資産に該当しない資産の移転のときには、時価で受入れ処理を行います。
適格合併によって移転する資産等の処理について教えてください。
適格合併によって被合併法人から合併法人に移転する資産及び負債については、合併法人は被合併法人の税務上の帳簿価額で引き継いだものとして処理します。そして、合併法人の資本金等の額と利益積立金額の引き継ぎ処理については、平成22年10月1日以後の合併では、先に資本金等の額を計算し、残額を利益積立金額として処理することとなりました。
1.受入れ資産及び負債の金額
内国法人が適格合併によって合併法人にその有する資産及び負債を移転した場合、当該合併法人に当該移転をした資産及び負債の当該適格合併に係る最後事業年度終了時の帳簿価額として政令で定める金額により引き継いだものとして、当該法人の各事業年度の所得金額が計算されることとなります(法人税法第62条の2第1項、同法施行令第123条の3第1項)。
2.資本金等の額と利益積立金額の計算
(1)増加する資本金等の額
適格合併の合併法人の増加する資本金等の額は、被合併法人の適格合併日前日の属する事業年度終了時における資本金等の額に相当する金額とされています(法人税法施行令第8条第1項第5号)。ただし、合併親法人株式を交付した場合は、その合併親法人株式の合併直前の帳簿価額を資本金等の額から減算し、抱合株式がある場合は、その抱合株式の合併直前の帳簿価額を資本金等の額から減算します。
(2)増加する利益積立金額
適格合併の合併法人の増加する利益積立金額は、次の算式によって算出されます(法人税法施行令第9条第1項第2号)。
被合併法人の適格合併日前日の属する事業年度終了時の移転資産の帳簿価額-(被合併法人の適格合併日前日の属する事業年度終了時の移転負債の帳簿価額+増加資本金等の額)
ただし、合併親法人株式を交付した場合は、その合併親法人株式の合併直前の帳簿価額を利益積立金額から減算し、抱合株式がある場合は、その抱合株式の合併直前の帳簿価額を利益積立金額から減算します。また、公益法人等の収益事業以外の事業に属する資産及び負債については、移転資産の帳簿価額及び移転負債の帳簿価額は、これらの資産及び負債の価額として合併法人の帳簿に記載された金額となります。
組織再編によって不動産を移転する場合における税負担について教えてください。
合併や分割等の組織再編によって不動産を移転する場合、登録免許税や不動産取得税を支払うこととなり、予想外のコスト高となる場合もありますので、事前に確認することが重要です。なお、合併や分割等の場合には、次のような優遇税率や非課税特例も設けられています。
1.不動産の移転登記に係る登録免許税
一般的売買の場合の所有権移転登記であれば、固定資産税評価額×2%の登録免許税が課されます。合併の場合には、税率が2%ではなく、0.4%とされています。
2.不動産取得税
不動産取得税は固定資産税評価額×4%(標準税率)ですが、合併の場合には非課税とされ、会社分割の場合には次の要件を満たせば非課税とされます。
・事業の主要な資産及び負債の移転
・事業継続が見込まれていること
・事業に係る従業員の約80%以上の移転が見込まれていること 等